活動の報告

「提訴にあたってのメッセージ」

貴会が旧夙川短期大学の建物解体時のアスベスト飛散による被害の全容解明、責任追及をするため、神戸
地裁に提訴されましたことに賛同し、ご支援のメッセージをお送りいたします。

諸外国において1980年代初頭からアスベストの危険性が指摘され、全面規制が始まっていたにもかかわらず、
日本はその後もさらに10年余り使用し続け、約1000万トンものアスベストを海外から輸入しました。1970年
代から1990年代初頭にかけての建設アスベスト使用量は最盛期には25万トンを超え、5万トンを超える大量
消費が最近まで続けられていました。ビルや建物に使用されたままになっているアスベストは未だ500万ト
ンにものぼると言われています。阪神大震災の解体処理に係って発症した中被腫例も報告されています。

2013年に大気汚染防止法が改正され、飛散性建材(レベル1・2のアスベスト)は規制の対象となりまし
たが、スレート等の非飛散性建材(レベル3のアスベスト)に関しては同法の対象となっていない、業者
からの届け出制による書類審査を基本としているなど、不備が多々あります。法の抜け穴を利用し、解体
業者が手抜き工事で経費を浮かせ、行政も手続き論に終始し、ずさんな調査しか行おうとしない、このよ
うな行為を横行させるわけにはいきません。解体のピークは2020年とされており、すぐにでも健康被害を
防止する実効性のある施策を確立しないと、健康被害が今後急激に広がっていくことが予想されます。
住民や子どもたちの将来の健康を守るためには、現行制度の問題点を明らかにすることは不可欠であり、
全容解明と責任の所在を求めて提訴されたことは非常に重要です。

公害を許さず、公害責任を明確化し、公害被害の早期発見・早期認定、被害実態の正確な調査・把握、
被害予測と予防対策事業の早期展開、関係者の処分、必要充分な被害者救済・補償の実施、公害再発予
防の徹底を求めて、ともに運動していきましょう。

兵庫県保険医協会
環境・公害対策部長 森岡 芳雄