会員からのメッセージ

裁判の第1回口頭弁論を傍聴して


10月25日に行われた裁判の第1回口頭弁論を傍聴しました。
裁判の原告になるのも初めてながら、裁判を自分の目で見るのも初ての経験でした。第1回目ということもあってか、進行は原告お
よび被告側双方に対する手続的な確認が主でしたが、その中で、原告代表の上田氏が、裁判にあたっての原告の思いを述べる意見陳
述を行いました。その要旨はこのHPにも掲載されていますが、上田氏は、なぜ住民が裁判を起こさなければならなかったのか、その
切実な思いをこれまでの経緯とともに、力強く、明晰に語り、原告の一人として胸が熱くなるのを感じました。と同時に、私たちの
思いは、法廷に力強く響き渡る、微塵の揺らぎも迷いもない上田氏の言葉一つひとつとともにある、それをあらためて傍聴席で確認
した気がしました。
「アスベストが飛散した場合深刻な健康被害を受ける恐れがある近隣住民には、解体前に設計図書を確認する権利はありません。住
民の健康は、業者の法令遵守と行政の監督・指導にかかっています」
意見陳述で上田氏がこう述べたように、建物の解体にともなうアスベストの飛散について、その被害を受けることになる住民には、
それを事前に知り、未然に防ぐ方法はありません。すべては業者とそれを指導する行政に委ねられており、私たちは彼らが法令を守
りアスベストの危険から住民を守ることを前提とした、適正な措置をとることを信頼するしかないのです。しかし、今回、業者によ
る偽装と行政による「偽装の黙認」がなされたとしか考えられず、であれば、アスベストから住民を守るシステムの根幹が崩壊した
ことになります。さらに懸念されるのは、こうした状況が決して西宮だけの問題ではないということです。そうした大きな社会的意
味合いも、この裁判が持つ重要な側面であると、裁判を傍聴しながら感じました。(S O)